春空
 
“次の次の春くらいには
 畑にもう一つ家を建てる
 いつか誰かと帰って来て
 そこで暮らせばいい”
 
いつも無口なその背中は
どこか寂しく遠くもある
ありがとうもろくに言えないまま
ごめんねも言えぬまま
 
愛だったんだ
過ぎ去って気づいた 失って気づいた
今さら抱きしめる
果たされない
ほんと勝手で温かい
あなたの“夢”が 春空に映った日
 
いつも無口なあなたの夢
毎年必ず思い出すよ
ありがとう いつかまた会えたら
まずは東京タワーへゆこう
 
愛だったんです
過ぎ去ってしまう前に 失ってしまう前に
両手で抱きしめよう
終わっていない
ほんと勝手で温かい
あなたの“夢”が 春空に響いている
 
あなたの“夢”が 春空に映った日
 
 
2021年3月26日 阿部祐也